iPhone対Androidのシェア争いが話題になっているけど、たぶんiPhoneが絶対に勝てないのがBOP市場。
BOP は Bottom Of Pyramid の略でインドやアフリカのような開発途上国での年収3000ドル以下の貧困層のこと。そういった人々を対象としたビジネスが BOPビジネスとして注目されている。
そういった貧しかった人も携帯電話を持つようになって、開発途上国では携帯が普及しつつある。次に、その携帯電話のインフラを使ってスマートフォンが普及するようになると思う。それも今の先進国とは全く違う使われ方で普及すると思う。
先進国とBOP市場ではスマートフォンの意味が違う
スマートフォンを定義するのは難しいけど、おおよそ次のような機能をもつ携帯電話と言っていいと思う。
- PCと同様にインターネット(Web、メール、SNS、地図)にフルアクセスが可能
- インストールしたアプリで、何か(仕事、読書、音楽鑑賞、ゲーム)ができる
先進国の人にとってスマートフォンはモバイル環境用のサブマシン。たいていの人は家や職場や学校にPCがあるから、あえてPCではなくてスマートフォンを使うためのインセンティブ―「ぬるぬるな操作感」のような使いやすさ―が必要になる。
ところが、BOP市場の場合、スマートフォンは個人や家族にとって1台目のインターネット端末になる可能性が高い。それならば、多少の操作性の良し悪しよりも、「インターネットのコンテンツにアクセスできること」の方が重要になる。
BOP市場ではAppleは勝てない
Appleの戦略は、ずっと「プライスポイントを維持して、機能アップでお買い得感を出す」*1という戦略だった。iPhone 4 のときも Retinaディスプレイを搭載して機能比で安く見せても、価格そのものを下げることはなかった。低価格製品を出すときは、iPod shuffle や iPad のように上位製品とは全く異なるジャンルで販売する。
だから、Appleは、これからも、低機能のスマートフォンを安く売るということはしないし、できないと思う。
だけど、BOP市場で必要なのは、使いやすくて値の張る製品ではなくて、使いにくくても安くてスマートフォントとしてのフル機能を持った製品になる。
スマートフォンがOLPC(100ドルPC)の代わりになる?
インターネットにフルアクセスができること、WiFiを使えば維持費を安く抑えられるという点で、BOP市場向けのスマートフォンは OLPC(One Laptop Per Child: 100ドルPC)のコンセプトと被る部分が多いと思う。
というわけで、BOP市場向けのスマートフォンのスペックを考えてみた。(海外ではインドでしか生活したことがないので、インド向けでイメージしてみた)
- 解像度は 320×480
- インセンティブなしで1万円程度の価格
- プリペイド契約が可能
- 標準バッテリーの容量は少なくてもいいけれど大容量バッテリーに交換可能
- 基本機能(ブラウザ、メール、地図、音楽)のアプリはしっかりしている
- OSのバージョンアップはなくてもいい
- WiFiが使える
たぶん、こういったBOP市場を一番知っているのはノキアのような気がするけど...
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