Googleの中国撤退が意味するもの

Googleが中国で検閲をやめて、撤退するかどうかで話題になっていますが、中国政府がGoogleをシャットアウトしたらどうなるか? これを政治から離れて考えてみました。

検索エンジンはインターネットの市場

Googleの登場前と後で、インターネットの検索性は大きく変わりました。以前は、インターネットで必要な情報を見つけ出すのが至難の業でしたが、Googleはかなりの確率で目的の情報を見つけ出してくれます。
一方で、ページランクが注目されるようになり、SEOが一般化しました。SEOビジネスはページランクを売買するようなレベルになっています。このページランクの上下に一喜一憂するのって、株取引に似ているような気がするんです。
例えると...

というように。
検索エンジン証券取引所のようにインターネットに市場性を提供して、サービス提供側はページランクの上下にやきもきする。だから、Googleの中国撤退は、Googleという一企業のビジネスだけで考えてはいけないのです。

中国のネットビジネスがガラパゴス化する

中国の検索エンジンでは、百度(Baidu、バイドゥ)が約75%という大きなシェアを持っています。
その残りの多くを占めていたGoogleが撤退することで、百度の寡占状態になることが心配されています。
個人的な意見ですが、中国の人口規模と起業熱を考えたら、百度に対抗しようとする中国発の検索エンジンはいくらでも出てくるような気がします。だから、中国内の検索事情が格段に悪くなる、ということはないでしょう。逆に、閉ざされた中国市場で力を蓄えた検索サービスが世界進出する、ということも起こるかもしれません。
それでも、問題が残ります。
それは...
中国発のネットサービスが百度のみに最適化されてしまう
ということ。
世界では、Googleの方が圧倒的なシェアをもっています。だから、Googleに対してSEOを行うことは、世界に通用するネットサービスを運営する上で必須です。もし、中国からGoogleにアクセスできなくなったら...中国発のネットビジネスが、中国のみで閉じたものになってしまう可能性が大きくなります。
これは、中国にとって経済的な意味で大きなリスクになります。だから、中国政府はGoogleに撤退してほしくないんですよね(たぶん)。